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第十五話 光の共鳴

last update Huling Na-update: 2025-08-10 08:00:00

十五話 光の共鳴

全てを受け入れる事が出来たレイングは、少し目眩がする程度には、回復している。最初、叫び声をあげた時には、どうしたらいいのか分からずに、パニックになりそうだった。二人からしたら、そうは見えなかったようだが、心の声が筒抜けになった為、理解はしてくれた。

「しかし、考えた事、思った事が暴かれるのは大変だろうな。俺には無理だ」

レイングは冷静にそう言うと、同情の眼差しで俺を見ている。いやいや、俺だって無理だから。そう言いたいのに、口にする前に全てバレてしまう。羞恥心なんて放置されている。俺の気持ちは、プライバシーはどこにいったんだ。

「さぁ行くよ〜。まだ二日も経っていないからね、急ごう」

ロロンは時間の事を気にしているようだった。彼の発言に驚くように声をあげるレイングは捲し立てるように、質問をする。

「どういう事だ? 二日目にはなっているだろう。夜中なのに、何を言っているんだ?」

彼は俺の感じる時間の流れとロロンとレイングの世界の時間の速さが違う事を知らない。全ては、俺の目の前に表示されている時計の時間が正確なんだ。それをロロンが簡潔に説明すると、今までの価値観を崩してしまった彼は、わなわなと震えながら、動揺を隠した。

「そうなの……か、なるほどな」

言葉の節節に緊張感が溢れている。手に取る程に、分かりやすい反応にくすりと笑ってしまった。俺の様子に気づいたレイングは、拗ねた子供のように、不貞腐れ始める。

「まぁまぁ、ハウくん、正確な時間を教えてあげて」

こういう時に人使いが荒いロロンには嫌気をさす。彼も把握しているはずなのに、どうしてだか、俺の口から言わそうとするんだ。その答えはロロンの言葉よりも、俺の言葉の方がレイングを安心させる事が出来ると、考えての事だとも知らずに、言われた通りに、時間を教えた。

「今は夕方の四時だ。こっちの世界では何時なんだ?」

「今は夜中の三時だな。二日目になっている」

ここまで時間差があるなんて、誰が思うだろうか。もしかしたら俺が見
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